能舞台

11月12日に知人の招待により、伊豆修善寺の旅館「あさば」で能を観てきました。あさばの能舞台・月桂殿は森と池に囲まれた庭園に建っています。演目は「天鼓」。能を観るのは初めてで、何の知識もありませんが、これは素晴らしい芸術だと素直に感動しました。
9月にパリのオペラ座で観たオペラとの比較を考えてみると、豪華な建物と、木造の柱と屋根があるだけの能舞台、大人数のオーケストラと4人のお囃子(太鼓、大鼓、小鼓、笛、ほかに地謡をする人もいます)、多数の出演者と3人の演者。双方とも音楽に合わせて演ずる芸術ですが、対照的な構成です。
能は、余計なものを削ぎ落とした構成で演じられますが、舞とお囃子が森や水面に広がり、さらに空や宇宙まで無限に広がっていく感覚を覚えました。華やかなオペラに象徴されるヨーロッパの文化もよいですが、最小限の要素で無限の広がりを感じさせてくれる日本文化は優るとも劣らないと思いました。